稽 古 の 風 景

準備運動

稽古中の怪我を防ぐため、柔軟体操、ストレッチを行います。その後、膝行法、舟漕ぎ運動、受け身等を行ないます。

基本動作

体の変更(一)(二)や臂力の養成(一)(二)等の基本動作を単独または相対動作で繰り返し練習します。

基本技

徒手対徒手を中心に徒手対武器、武器対武器、また前方の相手、横からの相手、後ろからの相手に対する等、多種多様な技があり、その数は3千にのぼります。そのうち、基本技は150手ほどで、これを反復練習を行ないながら、技の理合を習得します。習字でいうところの楷書にあたります。 

懸かり稽古または自由技

上記で触れましたが、基本技を習字の楷書に例えたのに対して、懸かり稽古(投げ込み)や自由技は行書にあたります。懸かり稽古は一つの技を連続で投げるもので、一方、相手の攻撃を正面打ちや片手持ちと等とに決めて攻めてくる相手に連続して自由に技を施すのが自由技です。習字でもいきなり、行書(投げ込み、自由技)は書けませんし読めません。基本の楷書(基本技)を理解して初めて読み書きができます。合気道も一緒で基本技の習得が大切なことが分かります。

応用・護身技

応用技は習字の草書になります。基本技がひとつひとつの動作を分解しつつ稽古するのに対して、応用技は一連の流れの中で技を施す稽古になります。

護身技は場面場面(シチュエーション)に分け合気道の技を用いて護身に役立つ技法を稽古します。 

終末動作

基本動作の一つで、別名「四方投げ方式」とも言われ、基本技の四方投げに直結する動作です。

相対動作で行いますと受けの体を充分に伸ばせるため(背伸ばし運動効果)、稽古の最後に整理運動も兼ねて行ないます。

基本動作・6本

技を構成している基本の動きが6本あり、この6本の動作は合気道の精髄ともいわれています。最初は単独で、次には相対で、そして、そこから技に発展して行きます。

基本動作がしっかり身についていない技は、土台が弱い家と同じで、とても不安定なものになります。従って、技を覚えていく中で常に初心に戻り、基本動作がしっかりできているかを確認しながら訓練する必要があります。

1.体の変更

 合気道の動きは多種多様になりますが、原理としては体を転換するか、入身で前進するかの二通りしかありません。押さば回れ、引かば丸く進めであります。

・体の変更(一)

 相手の体勢に身を入れる別名「入身法」)といわれています。この動作は下の手を持たれ引かれた場合、線に乗って前進・後退する動作です。

①右半身の構え(荷重は右足が6で左足が4の割合)から左足を前にやや内股に進め、左右の手のひらを合わせるように右斜め前に出します。

②左足を前に進めながら内股から外股に変え(S字形の移動)、左手が額の高さで、手のひらを上向き、右手はややえぐるような気持ちで胸の高さにします。

 (注1)左手の甲で丸いものをなでるような気持ちで動かし、掌が上を向くようにする。構えたときの肘の曲がり具合が変 わらないように移動します。

③上体はそのままで、左足を斜め前方に移動させて右足を追い、重心を前にかける(膝をしっかり曲げて体勢を低くします。荷重は左足が8で右足が2の割合に変わります)。

 (注2)戻るときは同じ道を通るが、まず左足を引き付けるようにして大きめに引き、右足を引き付けて構えの体勢に戻ります。

・体の変更(二)

※回転する動作で別名「転換法」)といわれています。これは、上の手を持たれて押された場合の力の流し方の稽古です。

①右半身に構えます。

②右足を軸にして右足を軸にして左足を後方95度回転させ体制を低くします。手は下側からU字を描き右手が胸の高さ、左手が腹の高さで段違いで平行にします。戻るときも同じ道をたどります。

 (注)両足を結んだ線上に左右の手が向き、目線は正面を向きます。

2.臂力の養成

 これは、剣のふりかぶり、切り下ろしを体で表したもので、合気道独特の呼吸力を養成するための稽古です。呼吸力とは、特定の部分の力だけでなく、気力を含めた自己の持てるすべての力を一点に集結させた力のことで、合気道には不可欠なものです。

・臂力の養成(一)

※前進、後退する力で手をふりかぶり、切り下ろす動作です。

①右半身に構えます(重心の掛け方は前足が6、後ろ足が4の割合)。

②右足からすり足で前に進み、体勢を低くして重心を前にかけます(重心の掛け方は前足が8、後ろ足が2の割合)。両手は、剣をふりかぶる要領で指先を開いてふりかぶります。右親指は額の前、左親指は鼻の前に位置します。

 (注1)前進するときには後ろ足を引きつけ、戻るときは後ろ足から戻ります。

 (注2)ふりかぶりは、脇が開きすぎたり肩があがないようにします。

・臂力の養成(二)

※一方の足から他方の足へ重心を移動する力を利用し、手をふりかぶり、切り下ろす動作。この動作によって呼吸力の養成とともに柔軟で強靭な足腰をがつくられ、常に安定した動きができるようになります。

①右半身に構えます。

②両足のつま先を軸にて体の向きを変え、左半身になる。ただし右手は腰の位置に下げます。

③左足を前に進めて体勢を十分に低くします。

 (注1)①②③の動作は準備段階で通常の稽古では「用意」の号令でここまで行ないます。

④両足のつま先を軸にして体の向きを変えながら左足から右脚への重心を移動。右手は体の向きが変わるのに合わせて手を返し左手は腰の高さを通り、すべるように移動させます。

 (注2)重心の移動、腰の回転、手のふりかぶりの動作が一緒に始まり一緒に終わるようにします。 

3.終末動作

 別名「四方投げ方式(または四方斬転換法)」とも言われ、基本技の最初の技法・四方投げに直結する動作です。技法においては一つの動きから次の動きにから次の動きに移るときの動作を稽古するものです。

 この稽古によって体の安定、重心のなめらかな移動、力の継続、前進しながらの手刀の切りおろし等、四方投げだけでなく、様々な技にもつながっていきます。

・終末動作(一)

①右半身から右足を右斜め前方に進み、両手は胸の高さにそろえ出します。

 (注1)肘が横に張らないように注意します。

②左足から最初向いていた方向と平行に一歩前に踏み込み、体勢をさらに低くして左右の手は額の高さにふりかぶります。手の高さは左右とも同じにします。

③臂力の養成(二)の要領で、重心を移動しながら左足(後ろ足)を前に引き付け、構えの足幅にします。手は額の位置からそのまま頭上にふりかぶります。手の位置は、親指が額の真上で肩幅にします。

④右足からまっすぐ前にふみ込み、手を肩の高さまで切りおろします。手の形は(前へならえ)の体勢、後ろ足を強く張ります。

⑤一歩下がって右半身に構えます。

・終末動作(二)

①左半身に構えます。

②左足を軸に右足を後方に180度回転させる。右手は額の高さにふりかぶります。左手は体の変更(二)の要領で手のひらを上に向けて胸の高さに流します。体勢を低くし後ろ足を強く張ります。

③終末動作(一)の要領で重心を左足から右足へ移動しながら左足を引き付けてを額の真上でふりかります。両手は距離は肩幅の長さになります。

④右足から前に進み、手を肩の高さまで切り下ろします。手の形は(前ならえ)の体勢、後ろ足を強く張ります。

⑤終末動作(一)同様に右半身に構えます。